第5回夏期研修会を開催
2018年8月4日(土)〜5日(日)松本
年に一度のスズキ・メソード幼児教育研究会夏期研修会。今年も、中心となる双葉ヶ丘幼稚園(中津)、白百合幼稚園(松本)、光が丘幼稚園(宮崎)、白百合幼稚園(福島)、五風会保育園(岸和田)、ももぞのこども園(大分)、オブザーバーの聖愛幼稚園(甲府)を含め、総勢34名が参加。昨年の研修会基調講演で、才能教育研究会の早野龍五会長から提示された「非認知能力の重要性」に関連して、各園の取り組み事例の発表を行なうなど、充実した2日間となりました。
基調講演は、東京大学教授で言語脳科学者の酒井邦嘉先生
初日は、才能教育研究会との間で共同研究が進む東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉先生による基調講演「幼児期の脳と才能」からスタートしました。幼児期の吸収力は、「魔法」のようであり、適度な情報に繰り返し触れることが大切。これは情報の意味や意義を意識的に確認しなくとも、自然と身についてしまう能力を幼児が備えているからであり、自然に自然と向き合える、大切な脳の形成過程であることが示されました。また、言葉や音楽は耳から覚えた方が、はるかに自然で理にかなっていることから、スズキ・メソードの母語教育法が一切の教育法に勝ることに、鈴木鎮一先生が立脚していることを高く評価していただきました。
続いて各園より、「非認知能力をどう育てるか」のテーマで事例発表があり、幼稚園や保育園の場自体が、進め方によっては、まさに「非認知能力」を育てる宝物のような場所であることを感じさせました。
■酒井邦嘉先生のプロフィール
1992年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士。専門は言語脳科学で、人間に固有の脳機能をイメージング法などで研究している。主著に『言語の脳科学』『科学者という仕事』『科学という考え方』(中公新書)、『脳の言語地図』『ことばの冒険』『こころの冒険』『脳の冒険』(明治書院)、『脳を創る読書』『考える教室』(実業之日本社)、『芸術を創る脳』『高校数学でわかるアインシュタイン』(東京大学出版会)。
2日目は、あがたの森文化会館で、講演と実践報告
研修会2日目は、会場を松本市のあがたの森文化会館に移し、福島の白百合幼稚園、中津の双葉ヶ丘幼稚園、そしてこの9月からスズキのヴァイオリン教室が導入された宮崎の光が丘幼稚園で担当されるスズキ・メソードのヴァイオリン科指導者と白百合幼稚園(福島)と双葉ヶ丘幼稚園(中津)でヴァイオリンを担当される3名によるデモ演奏からスタートしました。その後、前日の各園での事例報告を受けて、「保育の中の非認知能力」をテーマにグループ討議。恒例となった各園の先生方が入り混じっての意見交換で、互いの園の事情や経過説明、なぜそのように展開されたかなど、詳しい話を当事者同士で話し合うことができ、有意義な時間となりました。
最後のグループ発表では、園児一人ひとりの育ちを見守ること、年長児になってから主体性を求めるのではなく、年少の段階から主体性を育てることが大切であること。年長児が意欲的に年少児のお世話をするにはどうしたらいいか、など具体的な方法にも及びました。他園の取り組み事例を知ることで、自園の取り組みの参考にするなど、前向きな姿勢がたくさん見られました。